聞こえても難聴なんです

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zoom RSS 障害に関わることを専門とする先生に聞いてみました【2/28追記あり】

<<   作成日時 : 2014/02/27 21:36   >>

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聴覚障害に関わるさまざまな意見を目にしていますが、私自身の意見も含めて、にわか仕込みの知識や、間違った認識が前提に出ているように思い、どうしても納得感を得ることができないでいました。

そこで、デシベルダウンのことを調べていたときに、半ば強引にメールのやり取りをさせていただいた、
日本社会事業大学の佐藤久夫先生に、今回の騒動で自分の思うところをぶつけてみました。

ここからは、先生とのやり取りをそのまま残しているので、いささか長文になります。
今回の騒動や、難聴そのものに対する考え方、見方をまとめた者については、こちらもご覧いただけると幸いです。
【今回の騒動に際して】
 「某作曲家狂想曲」
 http://kilis.at.webry.info/201402/article_1.html
 「むしろそう思うのが自然」
 http://kilis.at.webry.info/201402/article_3.html
【難聴そのものに対する見方】
 「難聴のイメージと現実」
 http://kilis.at.webry.info/201211/article_2.html
 「感音性難聴についての復習と自分の迷い」
 http://kilis.at.webry.info/201211/article_18.html
よろしくお願いします。

では、メールに関する話を続けさせていただきます。
昨日の夜のメールに対して、今日、返事をいただけましたので、私からのメールと、佐藤先生の返信をほぼ原文のまま、書かせていただこうと思います。
私からのメールについては、私および家族の個人的な内容は省かせていただいています。
佐藤先生からの返信は、私の個人名以外は、原文のまま記載しています。

===以下私からのメールの本題===
先生にまたご意見をお伺いしたいことがあり、
再びメールを送らせていただきました。
返信いただいた内容は、先生のご承諾がいただければ、
今回も、私のブログの中で、私からの質問、意見とともに
紹介させていただきたいと思っております。

本題に入ります。

例の偽作曲家騒動がきっかけで、聴覚障害の偽装と言うものが注目され、
大臣が「検討会」を立ち上げる意向である旨を発言しているという
世間をにぎわせている一件についてのお話です。

まず、私の個人的な意見を書かせていただきます。

「2級の聴覚障害の偽装疑惑」と言われていますが、かつて、北海道で起こった
大規模な聴覚障害偽装事件での、看護師らの証言を目にした記憶から考えて、
完全な健聴者が、医者を欺いて、2級の手帳を得ることが本当に可能なのか?
当時の報道の中では、健聴者たちがみな、必死に耐えていたと言った内容が伝わっており、
そういったことから類推すると、私としては、まっとうな診察をしている医者であれば、
欺くことは不可能だろうと思っています。

次に、聴覚障害の判定の厳格化、更新時の検査の義務化といった動きについてですが、
これについても、総論としては反対する理由はまったくないと思っています。
運転免許証の更新の際に適格検査があるのと同じように、
更新時に何らかの検査を行うことは、ものすごく当たり前のことだと思います。
ただ、その検査の方法について、いきなり「脳波による判定」を持ち出してきたことについては
話の本筋をはき違えていると感じています。
医者を欺いている偽障害者や、医者と結託した偽障害者をあぶりだすことが目的であれば、
「認定を受けた際の病院、医師とは、別の病院、医師による診断」で、
完全な偽装というのは、十分あぶりだせるかと思います。
等級のごまかしについては、一定数残ることはあるとは思います。
しかし、費用対効果と言った面を含めて考えても、実現可能な対策はこれくらいが限度であり、
効果としてもかなりのものが見込めるのではないかと考えています。

もうひとつ、先に挙げた「脳波による判定」に対して、
世論が後押ししていることについて、
これについては、聴覚障害の性質についての丁寧な説明が不足していることが原因であろうと考えています。
私自身も、妻が難聴と診断されるまでは、聴覚障害とは「聞こえる/聞こえないの2択」あるいは、
スピーカーのボリュームを徐々に絞っていくかのように、「聞こえる」からだんだん「聞こえない」に近づいていく
そんなものだと思っていましたので、その当時の私に、「脳波で機械的に判定できる」という情報を与えられたら
「それは、機械的に判定できるものの方が正確で良いんじゃないのか」と考えたと思います。

うまく例えられないので、自分の近視を例にして、そこから妻の感音性難聴に言葉を置き換えてみようと覆います。
私は強度の近視のため、視力検査表の「輪の切れ目を指す」という検査では「輪がある」ことはわかっても、
そのどこに切れ目があるのかはほとんどわかりません。
それでも、「ひらがなを読む」と言う形式の視力検査では、だいたいの形から、2つか3つの候補まで絞れます
ただ、「め」と「ぬ」の区別はつきません。

この状態を比喩として難聴を説明するとしたら、「輪がある」=「音がある」ことはわかる。しかし、「輪の切れ目」=「音の方向や距離」はわからない。
「ひらがなを読む」=「言葉を聞く」とすると、「聞こえた音からいくつかの文字が推測できる。あとは前後の文脈から絞るところまではできる。でも、聞こえて理解したわけではない」
という感じになるのではないかと思います。

そういった形の難聴があると言う事を理解されていない現状では、世論は「脳波、脳波」と言い続けるのでしょう。

最後に、そういったことを含めた「検討会」の立ち上げについてですが
これについては、諸手を上げて賛同いたします。
ただ、その前に、大臣あるいは、検討会の人選をする人たちに、
こういった「難聴の実態」を知っていただくことが大前提だと思っています。
かつて、「聴覚障害」だけをテーマに、大臣の肝いりで「検討会」が開かれたことがあるかどうかは知りませんが
そうそうあることではないと思っています。
そうであるならば、「偽装」に終始するのではなく、聖域なく幅広く、聴覚障害について議論していただけるのであれば、
決してネガティブな方向にばかり議論が進むとは限らないと思います。
・なぜ、欧米に比べて著しく高い70dbが聴覚障害認定の基準であるのか
・「特発性両側性感音難聴」、「突発性難聴」など、難病指定されている難聴に対して、医療、補装具の支援策の検討はできないのか
・医療機器である補聴器に対して、一定の条件のもとで「高額医療費」の認定はできないのか
わたしがざっと思いつくだけでも、議論してほしいテーマは山ほどあります。

先生のような、聴覚障害に対して知見のある方が検討会の主要メンバーとなるように働きかけること
これは、ろう者、難聴者の団体が是非やるべきことだろうと思っています。
そうすることによって、議論が「偽装抑止」に終始するのではなく「聴覚障害全般」の見直しに
つながる可能性だってないとは言えないと思います。

まとまりなく私見を書かせていただきました。
私の意見に対する指摘でも、先生ご自身の意見でも結構です。
これらのテーマについて、どのような考えをお持ちなのか、是非知りたいと思っております。
この報道を見ていても、「客観的な専門家」の意見をどこでも目にしておりません。
だからこそ、今回、失礼を承知と思いながら、ご意見をお聞きしたいと思い、メールを送らせていただきました。

お時間のある時で構いません
返信をお待ちしております
===

===以下、佐藤先生からの返信===
Wataさんへ

 興味深いメールありがとうございました。

 私もよく知らないままに、脳波検査で正確に把握できるのではないかと思って
いました。脳波検査で分かることと分からないこととの区別を明確 にする必要
がありそうですね。
 具体的には、例えば「トマト」と「タマゴ」を聞かせて、脳波の形の上にその
区別が現れるのかどうか。
 「聴力」はあっても、「言語明瞭度」は低いというようなタイプを脳波検査で
調べられるのかどうか。

 障害の程度・等級は「支援の必要度」を反映すべきだろうから、例えば補聴器
の必要度を評価するようにせねばと思います。この場合は本人の 言ったこと・
希望が重視されるでしょうし、障害年金などではより客観的な検査が求められる
と思います。しかしその場合でも、聴覚障害のために 働いて稼ぐ能力が落ち込
んでいるかどうかというニーズの面もきちんと見なければと思います。

 私は聴覚障害の専門家ではないので、私自身は検討会にはふさわしくはないで
しょうが、医師だけでなく言語聴覚士や聴覚障害当事者も入れる必 要がありま
すね。
 当事者は専門家ではないとの反論が出そうですが、ここのところが重要と思い
ます。身体障害等級の制度、その判定の制度は、この場合直接的に は聴覚障害
の程度を見るためのもので、その点では当事者は素人だと思います。しかし聴覚
障害の程度を見る目的は、生活上の困難の程度・支援の 必要の程度を評価する
ことにあります。その生活面については当事者がむしろ専門家です。

 ぜひ社会に対して問題提起をお願いします。

佐藤久夫


私ひとりが行動できることは限られています。
たとえば、NHKにEテレの特集番組をブラッシュアップして総合テレビで放送してほしいと要望したり、
厚生労働省の大臣会見に関わることとして、意見投稿するくらいです。

それ以上のことは、このブログでの発信くらいであり、このブログの注目度だって高いものではないことも自覚しています。
それでも、嘘偽りなく、思ったこと、知ったことを共有することで、同じような行動を取っていただける方が増えることを期待したいと思っています。


【聞こえても難聴なんです】の記事が増えたためINDEXページを作りました。
(NAVERに投稿したまとめ記事へのリンクも掲載しています)

他の記事はINDEXページから参照してください。
「聞こえても難聴なんですINDEX」
http://kilis.at.webry.info/201403/article_1.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
長いです。伝わりやすいように少しまとめては?

2014/02/27 23:05
アドバイスありがとうございます。
この記事自体は、先生とのやり取りの紹介としたいので、短くはできませんが、過去の自分の発言のいくつかをまとめたものが主旨となっています。

本文の冒頭にそれらへのリンクも貼りましたので、よろしければ、そちらもご覧になっていただけると幸いです。
Wata
2014/02/28 12:36

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